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  Le Vin Nature フランス自然派ワインニュース  (4/22 2007)
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ワインと健康

不都合な話題。取り扱いの難しい話題。社会の話題。ワイン愛飲家だけに任せるには

余りにも真剣な話題。科学者に託す話題(科学者の研究は、専門誌で発表され、

同輩に確認される)。

数千年間、人々はワインの効用を称えてきた。しかし、科学的な実証を欠いてきた!

ここ近年の科学の急速な進歩は、ワインの節度ある飲酒は、健康に良い効果があるのか

どうか、科学的に証明できるのだろうか?

 

Pauの会議上での科学的見解の発表

430日にPauで、"Vin et Santé"(ワインと健康)と題したシンポジウムに、

イギリスの研究者で"The Wine Diet"の著者であるRoger CORDER氏など、高いレベルの

科学者が集まる。

 

Roger CORDER (William Harvey Research Institute, Queen Mary, Londres, UK)氏は、

一般には無名だが、彼の同僚の医師からは、仕事の質と発表作品の厳格さによって、

高いレベルの科学者として知られている。彼は他の医者のように、Renaud教授によって

明らかにされた心血管の病気に対してのワインの効用を説明するために、

フレンチパラドックスを理解するための研究をしている。

 

Roger CORDERは、PlaimontMadiranのブドウ栽培・ワイン醸造者の助けを借りている。

感謝の意を表すため、彼はPauで「ワインと健康」というシンポジウムを開くことを

彼らに提案した。彼らと共に、Roger CORDERは、この領域で専門家として知られる

国際的な科学者と臨床医を呼び集める。

 

参加者

Joël de Leiris (Université Joseph Fourier, Grenoble, France) –

R. Curtis Ellison (Boston University. USA) –

Morten Gronboek (National Institue of Public Health, Copenhagen, Danemark) –

Alan Crozier (University of Glasgow, UK) –

Augustin Scalbert (INRA, Centre de Recherche de Clermont-Ferrand/Theix, France) –

Federico Leighton ( University Catholic of chile, Chili) –

Valérie B. Schini-Kerth ( Université Louis Pasteur, Strabourg, France) –

Jonathan Gibbins (University of Reading, UK) –

Mark Pothecary (William Harvey Research Institute, Queen Mary, Londres, UK) –

 Giovanni de Gaetano (Catholic University, Campobasso, Italy).

 

Roger Corderの仕事・著作

Roger Corder(ウィリアム・ハーベイ・リサーチ機関、クイーン・メアリー医学学校・ロンドン)

と彼の同僚は、血管拡張に最も効果のある赤ワインの構成成分を見極めるために、

血管から培養されたendothelial細胞を使用した。

 

南西フランスの赤ワインは、最も高いレベルのProcyanidinsを持っている。

Procyanidinsは、ぶどうの種の中にある物質であり、心臓に良い赤ワインの責任を

担うものであることが知られている。以前の研究では、赤ワインの皮の中に見つけられる

Resveratrolが、酵母や蝿、ミミズ、魚の生命を延ばすことを表明していたが、

Corderは赤ワインの中のResveratrolの量は非常に少ないため、血管には全く影響が無い

ことを発見した。

 

Procyanidinsは、しかしながら、血管を圧縮するendothelin-1とよばれる

ペプチド総合物(peptide)を抑える働きがあることが分かった。チームはまた、

異なる地方のprocyanidin含有量を比較した。南西フランスとSardiniaのワインは、

他のワイン地域よりも2倍から4倍のprocyanidinsを持っていた。Corderは、

これらの地域では現在も伝統的なワイン生産方法が行われているためだという。


The Wine Diet
 (1回目)

「ワイン食事療法」
これは食事療法です・・・しかし、普段私達が知っているものではありません。

 

Roger Corder著「ワイン食事療法」は、なぜコルクを抜き続けなければならないのか、

正確に説明している。20071月に出版されたこの本は、世界中のワイン愛飲家と

生産者が夢に見ていたかのような本であるように見える:毎日質の良い赤ワインを

飲むことによる健康への好影響を紹介する本。彼の議論は、赤ワインやダークチョコレート、

ベリーなど他の食物と心臓の健康を結びつけるたくさんの科学的な証拠を基にしている。

 

人々は何世紀にも渡って「ワインは健康に良い」と言い続けている(例えば、Paracelsus

16世紀に賢くも「ワインは食物であり薬であり毒である−量の問題だけだ」と記した)。

しかし、誰も今までなぜなのかを本当には理解していなかった。心臓血管の専門家で

実験治療学の教授であるCorder教授は、赤ワインの潜在的にとてつもなく大きな医療的効果に

ついて、注目せずにはいられない証拠を集めるために何年も費やしてきた。

 

彼や他の人達によってダークチョコレートについて言われている、似たような主張を加えると、

食通にとっては夢のような法則だろう。Corderは、科学者としての自然な慎重さとして、

人々にもっとワインを飲むように勧めているのではなく、選択して飲むことの大事さを

強調している。本の副題「完璧な栄養摂取と生活スタイル計画("A complete nutrition

and lifestyle plan")が明らかにするように、彼のメッセージはワインとチョコレート以上の

ものだ。

 

Corderが言わなければならないことは、潜在的に私達がアルコールを捉える方法に大きな

関わり合いを持つ。彼は、1999年から主に自分の自由な時間を使って、ワインの化学的

特質を調べ始めて以来の「発見の旅」を概説している。彼は長年に渡ってワイン愛飲家であり、

私達の健康にワインの何が良いのかを理解していないことが不満であった。全てのワインは

同じなのか、もしくは特別なワインがあるのかどうか?

 

彼と彼のチームは仕事に着手した。そして2001年、彼らはレッドワインが心臓の冠状動脈の

病気に関係する重要な分子であるendothelin-1に抑制をかけることを発見した、と発表した。

Corderは、ある種のポリフェノール、もしくは植物性化学物質であるprocyanidins

健康に関わるワインの構成要素であることを見つけた。Procyanidinsは最近、研究者が赤ワイン

の生物学的に最も活動的なポリフェノールを清澄した後に発見された。幾つかの研究が、

赤ワインの中のポリフェノールや、最近ではダークチョコレートのなかのポリフェノールが、

血管に強い保護を与えること、さらに潜在的には動脈の流れが阻害されるのを防ぐことを、

提示している。

 

最近の食料加工過程が、procyanidinsを大量に排除しているが、procyanidinsはある赤ワインや、

またクランベリーとチョコレートには大量に含まれている。本質的には、procyanidins

たくさん含んだワインを飲むことは、血管内の機能を向上させ、心臓病や心筋梗塞、糖尿病、

痴呆、そして可能性としてはある種の癌から私達を守る。(続く)

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