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  Le Vin Nature フランス自然派ワインニュース  (5/9 2007)
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眼科学におけるワインの有益性

旭川の医学部の研究者チームは、赤ワインの中に存在するresveratrolが、
目の血管拡張効果があることを明らかにした。したがって、糖尿病性の
網膜障害や心血管の原因に由来した他の目の病気による視力低下の危険を
減らすことができるかもしれない。

(ポリフェノールの有益な成分を探し続けます。)
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暑気:植物成長サイクルの異常

4月にフランスで猛威を振るった熱波は、農業生産品の成長サイクルを大混乱に
陥れた。早期の成長と熟成を引き起こし、農家の不安を増幅させた。全ての開花は、
少なくとも15日から3週間早かった。

とても温和だった冬に補完されたこの4月の気候により、ブドウ栽培現場では、
数週間早い発葉となった。しかしブドウ栽培・ワイン醸造家は、急激な寒気の
舞い戻りが、甚大な被害をもたらすのでは、と心配している。

シャンパーニュでは、4月初めの“夏の”陽気のおかげで、ブドウの木々は、
例年より2〜3週間早く将来の収穫をもたらす若枝の誕生をもたらした。従って、
春の雹は、葉が生え揃えば生え揃うほど、致命的なものとなるだろう。ブドウ畑で
の仕事は早められていて、仕事の増加に追いついていないブドウ栽培者がたくさんいる。

植物成長サイクルの混乱に加えて、4月の温度上昇は、新たな旱魃の脅威を
農業に起こしている。幾つかの県では、そのうえ水の使用の制限措置をとった。

(気候の変化が、ブドウ栽培・ワイン産業界に影響が無いわけがありません。
特に、過去数年の気候変化により(ホームページ(http://www.le-vin-nature.net/news_mel.html)
で 4月5日付けのニュースをご覧ください)ブドウ栽培とワイン醸造の実践は、
変化の真只中にあります。有機栽培とそのツールが、特に微生物の活動面において、
ブドウ栽培・ワイン醸造における新しい環境に立ち向かうことが出来る解決策となるでしょう。
(この“熱い”話題を次回、また取り扱います。)

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≪ Les viticulteurs doivent resister a la mode du toujours plus de sucre ≫ Jean-Robert Pitte (*)
<ブドウ栽培・ワイン醸造家は、糖分を追い求める流行に抵抗しなければならない>Jean-Robert Pitte氏

フランスワインの中の残糖量の割合は、過去20年来、継続して増えている。
この現象は「特に北方の白ワインによく見られる。アルザスではvendanges tardives と
selections de grains noblesをのぞいて、すべての記録を追い越している。」
とJean-Robert Pitte氏は確認する。彼によると、この進化は、気候温暖化、
期待するフェノール類熟成の尊重、そしてフランスだけでなく世界中の消費者の
味覚の変化に関係している。

この傾向は、過去数十年で若者の味覚を変えた食品業界、飲料業界における糖分の
増加に関係している。大人になっても、彼らの味覚はもはや変わらず、半甘口や
明らかに糖分のあるワインを好む。砂糖の味は、子供にとっては危険だ。なぜなら、
これは麻薬のようなものだ、とJean-Robert Pitte氏は説明する。

ところで、彼にとっては、糖分は文化と文明の問題である。私達が望むとき
(私達が必要なときではなく)、私達は味を選択するのに自由でなければならない。
彼は「これは食品業界の責任だが、この流行に抵抗しなければならないワイン醸造家の
責任でもある」と付け加える。一方で、瓶詰め前に濃縮果汁を加えて甘味をつけることは、
ネゴシアンや協同組合で一般に行われている。実際に、濃縮果汁の市場は、大きく
成長している。これは、輸出市場とフランス市場における、残糖分をもったワインの
需要の増加に直接関連している。

彼は、傑出した大学教員として、消費者になにがなんでも味覚と食品の選択方法を
教育しなければならないと考えている。しかし、また一般大衆向けのマスコミが
この問題を扱わなければならない。彼によれば十分に取り扱われていないし、
研究されていないという。

(Jean-Robert Pitte氏は、2007年3月にディジョンで行われたシンポジウム
≪ le rechauffement climatique, consequences sur les vignobles ≫
(ホームページ(http://www.le-vin-nature.net/news_mel.html)で4月5日付けの
ニュースをご覧ください)に参加しました。彼はパリ・ソルボンヌ大学の会長であり、
傑出した地理学者であり作家です。ガストロノミックとワインに関する数多くの
著作があり、優れたワイン愛飲家でもあります。)

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自由二酸化硫黄(Soufre libre):慎重に分析値を解釈すること

自由二酸化硫黄(Soufre libre)と合計二酸化硫黄の分析結果に関連した不確実性は、
慎重さを伴って結果を解釈しなければならないと思わせるに違いない。
ワインの中に存在する数多くの分子とともに、比較的ほとんど重要では無い量が
存在している揮発性と特に反応性の二酸化硫黄は、その分量測定が特に難しい成分である。

Office International de la Vigne(ワイン国際事務所?)の忠告によれば、二酸化硫黄の
分量測定の再生可能性は50 mg/lより少ない含有量では9 mg/l、そして50 mg/l以上の含有量では15 mg/lだ。

言い換えれば、公認の研究所により提出された結果は、プラスマイナス9 mg/l、
もしくはプラスマイナス15 mg/lの不確実性がある。複数の研究所に委ねられる同じ
サンプルの自由二酸化硫黄の測定では、この化合物を測定する難解さから、9 mg/l から
26 mg/lの違いが出る可能性がある。

自由二酸化硫黄の添加について、比較的重大なこの不確実性によって、新たに
二酸化硫黄を添加する前に、慎重に結果を検討しなければならないと思わせるだろう。

しかも、サンプルワインの採取は空気とワインの接触を最小限にして行わなければならない。
もしサンプル採取が複数のタンクから行われるとしたら、一つの容器の中に空気と複数の
タンクからのサンプルワインを混ぜることにより、二酸化硫黄の重大な喪失を引き起こす危険がある。