━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  Le Vin Nature フランス自然派ワインニュース  (7/23 2007)
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

赤ワインは飲酒は前立腺がんの危険を軽減 〜William J. Cromie, Harvard News Office

適度に赤ワインを飲む人達は、赤ワインを全く飲まない人たちよりも、前立腺がんを患う危険性が
二分の一であると、6月のHarvard Men’s Health Letterに発表された。
---------------------------------

そのうえ、赤ワインは特に、発達し活動的な癌細胞に対して防御的な作用があるようで、
約60%の危険性を軽減するようだ。ここで重要な単語は<適度な>である。これは、1週間に
4から7杯の赤ワインを意味する。ハーヴァードの報告書は、1日1杯の飲酒は有益なことだが、
2杯は効果を2倍にはしないと強調している。ハーヴァードの3つの研究は同様に、適度な赤ワインの
摂取は、心臓発作、心筋梗塞、糖尿病、前立腺肥大、勃起不全などのおそれも軽減すると結論付けている。

以前の研究では、アルコールの摂取は前立腺癌の防止には効果が無いとしていた。しかし、シアトルの
Cancer Fred Hutchison研究センターの科学者達は、研究を推し進めた。彼らは40歳から64歳の1456人の
被験者を対象にして、異なるアルコール飲料の効果を区別して研究した。

それによると、1週間に35杯かそれ以上(!)のビールを8年間、もしくはそれ以上の期間飲むと、
癌の危険性が高まることを発見した。白ワインは、特筆すべき効果は無かった。しかしながら、
1週間に4から7杯の赤ワインを摂取する人は、摂取しない人たちよりも癌になる危険性が52%少なかった。

適度に赤ワインを飲んでいる人には嬉しいニュースだ。しかしながら、前立腺がんを防ぐために
アルコールの摂取を薦める医師は一人もいない。この結果は、たった一つの研究結果からだ。他の研究は、
この結果とは反対のことを言うかもしれない(医学では良くあるように)。ハーヴァードの研究などは、
アルコールやワインの飲酒に関する研究に新しい道を開くだろう。


---------------------------------

シャンパーニュ地方が“気候計画”を開始 (Reussir Vigne−2007年4月号)
シャンパーニュ地方が地球温暖化に対して結束し、闘いを準備。

「厳密に経済的な観点から、私達は我々のやり方を発展させることに興味があります」と
CIVC(Comite interprofessionnel du vin de champagne:シャンパン地方ワインの職業間組合)
のArnaud Descottes氏は言う。こう付け加える前に:「少しシニカルな取り組み方のようになるか
もしれませんが」。しかし、地球温暖化に関して、シャンパーニュ地方は彼らの試算をした。

3種の石油バレル価格上昇の仮説を利用すると:60,80,150ドル、(石油バレル価格は上昇すること
しかできない。なぜなら、石油開発調査技師によれば、今日石油の埋蔵量に限りがあることを疑う
人はいないし、2015年に石油の在庫は尽きることをしっているからだ) この高騰によって
シャンパン経済上に発生する追加費用は、最初のケースでは3000万ユーロ、2つ目は8000万ユーロ、
3番目は1億5000万ユーロに増加する。

シャンパン業界関係者はまた、これからの消費者は商品の価格だけを評価するのではなくその
“環境への関わり方”も考慮するようになるし、その商品が作られる過程で残る環境に対する足跡も
知りたがるだろう、ということを自覚している。

しかしながら、地球温暖化に対する闘いはまた、倫理感、人類、そして生態系の問題でもある。
それへの対策法は明白である:温暖化効果のあるガスが、大気中に高濃度化するのを防ぐこと。
これを行うには、世界規模では、明日からガスの放出を二分の一に減らすことを前提とする。
フランスにとっては、ガス放出を四分の一にすることを意味する。この2050年を見通した目的は、
フランスの法律にも記載されている。したがって、シャンパーニュ地方は、この国家の目標に対応
することを決定した。


シャンパーニュ地方は1年で200,000トンの炭素を排出

ブドウ畑と醸造所では、化石燃焼や必要とされる電気、並びに開墾したばかりの区画で植生を
燃やす火から出るCO2ガス、冷却用液体の漏れ、または窒素系肥料の使用に関係したガスの全てが
記帳された。2つ目の範囲として、人々や商品の移動・物流に関わるエネルギーとコンピューターや
発酵槽、トラクターなど全てで消費されるエネルギーが記帳された。最後に、シャンパーニュ地方と
その消費者そして、業界を取り巻く全ての部門において、梱包、ボトル、機械や建物の製造・建築、
廃物処理に関係するガスが加えられた。

これらの全てを加えると、足し算は大きな数字となる:言い換えれば、シャンパーニュ地方では1年間で
200,000トンの炭素を放出している。「実際に、シャンパーニュ地方のこの問題の四分の一は、ブドウ畑と
醸造所に位置づけられる。私達は、お客様と供給者の目から見て、より有能でなければならないし、
好循環に入り込むようにみんなを励ます必要がある。」

この気候計画の枠組みにおいてシャンパーニュ地方の直接責任がある人々のために、
複数の研究グループが、実行可能性のある方策を検討する役割を兼ねて設立された。例えば建築物の
エコ構想が計画されている。現在は、200 kwh/m2が必要だが、「50 kwh/m2まで下げる必要がある。
さらに、自らエネルギーを産出する建物まで行かなければならない」


1年で250,000トンのバイオマス 

(バイオマス:再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)
ブドウ栽培地のバイオマスの活用は奨励されなければならない。若枝、木々、ブドウの搾りかすなどの
バイオマスはシャンパーニュ地方で年間、250,000トンになる。1500トンの炭素の節約を可能にする
ブドウの搾りかすを利用する計画が進行中である。「若枝と木々は300ギガワットの巨大な鉱脈となり、
それは地方の100万〜150万平方メートルを暖めることを可能にする。使用地域までそれらを運ぶのには、
それらが保持するエネルギーの10%を使用するにすぎない。」

ワイン醸造学上の過程では、酒瓶の削減と投入量の軽減が検討されるべきだろう。3つの道筋が、
機械の設置要件について検討されている:トラクターの力の最大化、ブドウ畑における作業の連動化、
生物燃料の使用。「凍結防止策については、ヒーターに頼ることをすぐにやめなければならない。ヒーターは、
過度に有害な機器であり、他の方法に特典を与えなければならない。」土壌の肥沃化については、
シャンパーニュ地方は短期的視野では窒素鉱物肥料(fertilisation minerale azotee)は排除される。

発送品の梱包と物流に関する仕事についてはしかるべき作業を行う必要がある。
この領域で検討されている道筋は、ビギーバッグ輸送(貨物付トレーラーを貨車に積んで輸送する鉄道
と道路の共同輸送方式)の強化、トラックの積載率を良くすることと飛行機に頼り過ぎないことだ。
「飛行機はほとんど使われていないが、飛行機が生成する公害は物量に関わる
合計ガス排出量の40%になる。全ての人々がこの変革について責任を果たさなければならない」と
Arnaud Descottes氏は強調する。(了)


---------------------------------

Bilan carbone et "Plan climat" pour la Champagne:
シャンパーニュ地方の炭素測定と“気候計画”

ブドウ栽培・ワイン醸造地域の規模で取られた措置の中では、2005年にCIVC
(Comite interprofessionnel du vin de champagne:シャンパン地方ワインの職業間組合)によって
着手された“シャンパーニュ気候計画”は、10年で20から30%のガス放出を減少することが目的だ。
「より弱くなくなり、より汚染を少なくするために」

温室化効果に関係した気候変動は(つまり人間の活動によるもの)、議論の余地無しに、これから
数十年の規模で私達の社会が解決しなければならない中心的な環境問題だ。活動の本質自身が、
数十年かけて、シャンパーニュ地方のブドウ栽培・ワイン醸造を、テロワールと環境への影響に
対する無関心な態度へと導いた(凍結防止目的のヒーターの利用、森林伐採、過度の収穫など)。

シャンパーニュのガス放出が地球規模では取るに足らないようなものであっても、将来避けることは
できない広範囲にわたる努力にたいして、今の時点からシャンパーニュ地方が貢献したいという意気込みに
対して、拍手を送るべきだ。

炭素測定(生産と販売活動に関係する温室効果のあるガス放出の総合値)が、
初めて業界全体のために作成された。

この前提の結果基盤を下に、引き続いてシャンパーニュの気候計画が発表された。最初の
目的が決定された:10年で20から30%のガス放出を減少すること。現実に行われている中心的な活動は
以下の通りである:建築物のエコ的構想、ブドウ栽培・ワイン醸造により生じたバイオマスエネルギーの活用、
凍結を防ぐ戦い、ブドウ栽培地の土壌や凍結防止対策、ブドウ栽培・ワイン醸造に関わる機械による
温室効果のあるガス放出の抑制、ワイン醸造過程や運送、梱包の最適化、投入量や財、サービスの管理。

この素晴らしい意向が行動に移ることを期待したい。なぜなら、この象徴的な地域が“緑”という
イメージを取り戻す大きな機会だからだ。


---------------------------------

危機に直面するアルザスブドウ品種

コールマールのINRAの研究者によれば、地球温暖化は、今から50年の間に、アルザスの高品質な
白ワインの生産に終止符を打つかもしれないという。

Eric Duchene氏は、コールマールは25年後には現在のリヨンと同じ気温特徴を持つだろうと予想している。
そして、2060年にはアルザスのブドウ栽培地の中心地は、現在のモンペリエの温度を目にするだろう。
この遺伝学課の研究者によれば、リースリングとピノグリ、ゲヴュルツトラミネールはしだいにその特徴を
失っていき、芳香な特徴は変わっていくだろう。フランスや他のブドウ栽培地域は、この問題に直面する
ことになるだろう。

7千の収穫者は、ほとんどこの大惨事的なシナリオを信用していない。「地球温暖化の影響はとても
ゆっくり現れ、心理的にそのマイナス面の特徴を認めるのは簡単ではない。特に、この過去数年では
高品質な生産に貢献してきていますから」研究者はそう認める。

リースリングとピノグリ、ゲヴュルツトラミネールというとりわけ“冷地”のブドウ品種は今日、長期に
わたる日照の恩恵を受け、完璧に熟している。しかし、ワインの品質はある限界地までは温度と共に上昇して
いくが、それを超えると減少する。


2025年からはアルザスにシラーとグルナッシュ

研究によれば、アルザスの白ワインの品質にとって理想的な平均気温は理論的には13.7度であり、
ちょうどこの値をアルザスのブドウ栽培地は上回ったところだ。2050年には、すべてのブドウ栽培地は
大きく彼らの理想的な温度を上回るだろう。特に、ボルドーとローヌ地方は。

Eric Duchene氏は「ブドウ栽培・ワイン醸造家は、その時にはブドウの過度の糖分の含有量を制御することは
できず、アルザスのブドウ品種を変えなければならないだろう」と説明する。彼によれば、2010年からは
カヴェルネソーヴィニョンやシュナンブラン、メルローの栽培が予想しえる。高温地域のブドウ品種である
シラーやグルナッシュは、2025年辺りからこの地域に好ましくなるだろう。

将来の天候の基準とみなされている猛暑が襲った2003年、コールマールのINRAのチームは、
<非常に素晴らしい>カヴェルネソーヴィニョンとグルナッシュを栽培した。「もし、アルザスで赤ワイン
に手を広げることを望まず、白ワインの伝統を守って行きたいのなら、乾燥に強い品種とクローン種の
交配品種を経て、より適合した品種を作らなければならないだろう。また、地中海地方の品種を植える
こともできるだろう」と彼は付け加える。