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  Le Vin Nature フランス自然派ワインニュース  (5/7 2008)
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[環境]
ワインの内の残留農薬−引き続き、Pan Europeの調査にまつわるニュースを2本お送りします。

<1>
ブドウ畑の脅威“キュベ・ペスティシド”
非常に真剣な研究結果の証明:ワインは殺虫剤によって汚染されている。
最上のグランクリュを含めてだ。

私たちのブルゴーニュやボルドー、シャンパーニュを毒性製品の棚に並べるべきだろうか?
ブドウ栽培者・ワイン生産者の鍛錬の象徴とも言えるグランクリュは、そのほんの少しの
バニラ香を伴った渋味や小粒の赤い果実の芳香の後ろに、暴力的な毒を隠しているのだろうか?


MDGRF(Mouvement pour les droits et le respect des generations futures:
未来の世代の権利と尊重のための行動団体)代表で反殺虫剤団体の管理者である
Francois Veillerette氏はこう断言する「ワインは、水道水に許されている許容量よりも
数千倍高い値の残留殺虫剤で汚染されている。ランダムに選んだ2002年ヴィンテージの
40種類のワインをこの団体が分析した結果、有機ブドウから作られたワインを除いた
全てが、6から10種類の残留農薬を含んでいた。化学製品は、ヨーロッパの綱領によって、
発癌性物質や突然変異誘発物質、内分泌腺撹乱物質などの危険物質として記載されている。


この研究は、関係者の間では爆弾ともいえる影響をおこしたに違いないのだが、研究の
やり方に疑問があるとして、伝達されただけであった。フランスでは、ラジオは沈黙した。
ボルドーのグランクリュクラッセ団体は、この質問は彼らの管轄外であると推定している。
対象となった10種類のフランスワイン(ブルゴーニュワイン3、ボルトーワイン7)では、
しかしながらボトル辺り200ユーロ以上で売られているものある。エコロージーに敏感な
消費者へのこの暴露の影響を想像してみよう。


農業学者でありシャンパンハウスHenriot やブルゴーニュのBouchard、シャブリの
William Fevreの保有者であるJoseph Henriot氏は「私は、有機栽培原理主義者の宣言に
対して反乱を起こす」このように宣言する。「90年代以来、考え方は進歩し、技術は
改善している。我々は、過去数十年の狂気的な生産第一主義からは抜け出している。確かに、
この期間中は我々は自由地下水に至るまで汚染していたわけだが」。


また、Bureau Interprofessionnel des Vins de Bourgogne (BIVB)の代表は、安心させたい
と願っている。「農業で使用されている全ての製品は農業省によって認可されている」。
しかしながら、慎重なLouis Jadotの代表は「個人的な見解」として「AOCワインには除草剤の
使用を禁止することが望ましい。そして、殺虫剤と防カビ剤を激減させる方が良い」と明確に
している。また「今日、我々は、昆虫やミミズ、雑草がブドウを傷めること無しに共存する
ことを受け入れることができる」と付け加える。


健康に危険であるか無いかは別にして、化学分子は一般的にブドウ畑に広がっているのだろうか?
ブドウ栽培・ワイン醸造の世界は、長い間、環境問題を直視しない方針を採ってきた。専門家は、
理論的農法の旗印(要するに、分別を持って使用するということだ)の後ろにどっしりと居を
構えてきた。そして、環境や健康へのこれらの物質の影響を気にかけてこなかった。
例?例えばINVS(Institut de veille sanitaire)の真剣な研究によれば、3月から8月の
ジロンドやシャンパーニュの大気はfolpel(1200 ng/m3に至るまで)やtrifluraline、
pendimethaline、endosulfan (de l’ordre de 1 ng/m3)などで満たされている。


さらに悪いことに、我々はまた1998年以来禁止されているlindane(自由地下水の最も重大な
汚染源とされている有機塩素系殺虫剤)も発見している。人々の健康への危険性?今まで一度も、
真剣に流行病学の研究は行っていなかった。


土壌の微生物学者であるClaudeとLydia Bourguignon氏にとって、除草剤や殺虫剤、防カビ剤は、
テロワールを死に至らしめるものだ。「ダニ目や線虫網、ムカデ、蜘蛛、ミミズや他のワラジ虫類は
驚異的に有機的な廃棄物を分解する力を持っている。そして、耕すことで土壌を新鮮にする。
土壌を死に至らしめながら、片方でテロワールの定義を守ることはできない。」フランスでは
80000トンの殺虫剤が毎年使われている。


INRAによれば、ブドウ畑は3%の耕作地を占めているが、20%の殺虫剤を使用している。

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<2>
ワインの中にはブドウだけが入っているわけではない。殺虫剤もまた見つけられる。それは、
少しだけでは無い−最大で水道水の5800倍に上るものもある。これは、NGO団体であるPan Europeが
発見したものだ。フランスで購入された10本のサンプルワインを見ると、サントネ1erクリュは
8つの化学製品に由来する分子が見つかり、ボルドー・ポムロールからは6分子がみつかった。
発癌性物質や生殖機能に有害な物質も含まれている。


ワインの生産者や殺虫剤製造会社はPan Europeが誇張しすぎているとすぐに批判した。
そして認可されている残留濃度を超えてはいないことを指摘した。しかし大事な点は、
ワインについては殺虫剤の残留濃度の認可値は決められていない点だ。ブドウに決められている
値を巧みに利用しているだけだ。これは、面白いくらいにしっくりくる。ブドウには最も高い値が
設けられている。なぜならブドウは、最も殺虫剤を利用している農作物の一つだからだ
(フランスでは年間で合計80000トン撒かれる殺虫剤のうち、20000トンがブドウに使われている)。


NGOは、今回40本のワインをチェックしただけだが、有機ワインを除いては、全てのワインが
残留農薬を含んでいた。この点に関して、アメリカの研究者が、国の保健機関の指導のもとに
行われた研究の中で最近発表を行った。彼らはシアトル郊外に住む3歳から11歳の33人の子供の
尿を、1年にわたって分析した。


結果:大量の殺虫剤。野菜と果物の消費量に応じて尿内の殺虫剤の量は増加した。夏場にもっとも
多いという結果だった。良いことは、科学者は子供が有機栽培の農作物を食べた時、尿内から
殺虫剤の痕跡が消えたことに気付いたことだ。


<この結果からも、ビオワインを飲むことを薦める理由になります・・・>
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